お世話になります。
の、高橋です。
職務上Excelで仕事を行うことの是非について
お客様から問われることが多くあります。
”昔から受注の管理をExcelでしているが、本当にこれでよいのか”
といった具合です。
時代により各ケースの都合により、回答内容は変化しますが
その問いに臨むにあたりどのような場合でもその本質は同じです。
脱Excelのスローガンは聞こえがよいですが本質としてはいかがでしょうか。
本質とはあなたの会社そのもののことです。
今日における御社の経常利益を振り返ると、
過去あったExcelシステムがそれ特有のメリットをもって左記利益に対し
一定寄与していたのも事実ではなかったでしょうか。
ある種目の上のたんこぶのような、例えるならなかなか取れないささくれのような
しかし大勢に影響もせずあなたたちが単に気に入らないというだけの
些細な矛盾を多少緩和するために、
これまで享受していた強大なメリットを捨てる価値が、
今ある「新システム」には、本当にありましたでしょうか?
今回のコラムは【Excelシステム考察一興】として、端的に
Excelで業務の管理を行う特徴、メリット、デメリットの一部を列挙してみます。
もし御社が脱Excelのスローガンに曖昧にほだされんとしているならば
今一度立ち返り、その後を予想したうえで別の仮説を立て検証してみるのも悪くないかと思います。
ぜひお付き合いください。
【Excelシステム考察一興】
■Excelの特徴
・人員豊富
入力、印刷程度なら多くの人が操作可能
仕様を修正/拡張/縮小できる人員も少なくない
・環境充実
概ねどのPCでも使える
ワークシート関数ならMacでも使える
・システムとドキュメントの同居性
入力画面の中にヘルプコメントや
使い方に関する画像の挿入が容易
・データベース性
データベースとして使うこともできなくはない
検索機能の実装は難易度が高い
・共有の容易性
メールでファイル丸ごとを送付できる
コピーが容易のためバックアップの難易度も高くない
・VBAを使用できれば仕様表現の幅が広がる
・同じファイルを多人数で同時編集することには
あまり向いていない
・巨大なデータは事実上扱えない
・ファイルそれ自体が破損することもある
■Excelシステムのメリット
・安上りであること
⇒システム要件と対応人員のレベルによるが、
Excelなら内作にて実現可能なケースは多く検討の価値はある
・引継ぎの難易度が高くない
⇒よほど凝った仕様でない限り、いちど構築した仕組みの長期稼働が容易
人の入れ替わりがある程度発生するなど、
長期の非属人性を要求されるシステム向き
・仕様変更の難易度が低い
⇒仕様変更が頻繁に要求される不定形業務向き
(システム使用者でなく、顧客その他外部の要求に応じて
入出力仕様を都度変える必要のあるシステムなど)
・ファイルを分けることが容易
⇒頻繁な試行錯誤を行うことが要求されるシステム向き
部署により業務手順が異なる場合も容易に対応可能といえる
■Excelシステムのデメリット
・運用に手がかかる
データの整合性確認や調整作業が必要となる場合があり
そこに人件費や属人性が必要以上に生まれてしまうことがある
⇒要件により不向きと判断されるケースもある
・思ったように動かなくなる
キータッチミス程度の誤操作で仕様(※)が破損する
※セル位置やワークシート関数の記述など
⇒トラブルの許容性が低いシステムには向かない
・いつの間にか消えている
ファイルの移動や削除が容易のため
「あるはずのファイルが無い」という事態が起こりやすい
⇒同じく、トラブルの許容性が低いシステムには向かない
・入力をミスする
データベース的な制約(※)は事実上無いに等しい
※文字/数値/日付といった「データ型」の制限や
列名に使用してよい文字の種類、など
入力制限を設けるための難易度が高い
使用者は細心の注意を払い操作を行う必要がある
⇒使用者群のPC知識により不向きと判断されるケースもある
・帳票のデータ改変が容易
⇒要件に不正対策を含むシステムには不向き
・データが分散し、一元管理には不向き
⇒システム間のデータの同期が要求されるシステムだと苦労する傾向
・検索機能が貧弱
⇒多種類のデータを横断的に検索したいシステムには不向き
■上記まとめ、所感
・基幹システムとしてExcelを選定することはお勧めしない
Excelが持つデメリットが致命的と判断されることが多く
運用開始後に発覚した場合かえってコストが高くつく場合もあるため
・基幹システム/パッケージシステム(会計、勤怠等)と
実務作業の間を取り持つ、
「サブシステム」的な立ち位置のものであれば
Excelのメリットが活きるケースは多い
本日もお疲れさまでした。
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